定数$\,c\,$は$\,0<c\sqrt{c-1}<4\,$を満たす定数とする。
複素数列$\,\lbrace z_n \rbrace\,$は次の漸化式を満たし、初項$\,z_1\,$の実部は正である。
$$
z_{n+1}=\displaystyle \frac{1}{c}\left(z_n+\frac{1}{z_n}\right)\,\,\,\,\,(n=1,2,3,...)
$$
このとき$\,\displaystyle \lim_{ n \to \infty}|z_n-\alpha|=0\,$を満たすような複素数$\,\alpha\,$を求めよ。
記述式(答えのみも歓迎)
解けない漸化式の極限には以下の定石がある。
step1 特性方程式を解いて極限を予想する
step2 $|z_{n+1}-\alpha| \leqq r|z_n-\alpha|$となるような、$\,n\,$に依存しない$\,r\, \in (0,1)\,$を見つける
$\,$
しかし本問では、$z_1\,$が未定なため、任意の$\,n\,$に対して上記の不等式が満たされるとは限らない。そこで、十分に大きい$\,n\,$の下でなら不等式が満たされることを示せばよい。
本問の背景には、円の反転写像がある。
点$\,P(z)\,$を単位円で反転した点を$\,Q(w)\,$とすると、以下が成り立つ。
$$
|z||w|=1\,\land\,\exists\,k>0,\,z=kw $$
つまり、点$\,Q\,$は半直線$\,OP\,$で$\,|OP||OQ|=1\,$を満たす点である。
定義から$\,\displaystyle w=\frac{1}{\bar{z}}\,$であることがわかる。