34375
定理: $n=1,2,\dots$ に対して、$n$ 桁のエグい数であって、$5^n$ の倍数であるものが存在する。
証明:
数学的帰納法を用いる。$n=1$ のとき、$5$ は $1$ 桁のエグい数で、$5^1$ の倍数である。$k=1,2,\ldots$ に対し、$n=k$ でそのような数 $B_k$ が存在すると仮定し、整数 $b_k$ を用いて $B_k=5^k\cdot b_k$ とおく。このとき $d=3,4,5,6,7$ のそれぞれに対し、$B_k$ の $10$ 進数表記の左に数字 $d$ をくっつけて $k+1$ 桁にした数はエグい数であり、$d\cdot 10^{k} + B_k = 5^k(d\cdot 2^{k} +b_k)$ と表せる。$d=3,4,5,6,7$ を $5$ で割ったあまりは全て異なるので、$2^k$ と $b_k$ の値に応じて うまく $d=3,4,5,6,7$ のいずれか一つを選ぶことで、$d\cdot 2^{k} +b_k$ が $5$ で割り切れるようにできる。この時選んだ $d$ を $d_{k}$ とすれば、$B_{k+1}=d_{k}\cdot 10^{k} + B_k$ は $k+1$ 桁のエグい数であり、$5^{k+1}$ の倍数となるので、定理が示された。(証明終)
上記の証明の流れで、$B_n$ を $n=1,2,...$ と順に構成していくと、$B_1=5, B_2=75, B_3=375, B_4=4375, B_5=34375$ なので、答えは $34375(=11\times5^5)$ である。なお、$n$ 桁のエグい数を $5^n$ で割ったあまりは全て異なることが上の定理と同様に証明できるので、$34375$ 以外に条件を満たすものはない。
・当初はオリジナル問題として作問しましたが、各桁が奇数(つまり $1,3,5,7,9$ のいずれか)であって、$5^n$ で割り切れる $n$ 桁の数が存在することを示す問題が、第33回 USAMO(2003年)に出題されていたようです(https://artofproblemsolving.com/wiki/index.php/2003_USAMO_Problems/Problem_1 ,2025年7月7日アクセス)。また、そのような $n$ 桁の数からなる数列がOEISに登録されています (https://oeis.org/A151752 ,2025年7月7日アクセス)。
・また、$10=2\cdot 5$ なので、$5$ を $2$ に置き換えても同様のことが成り立ちます。たとえば、各桁が $2$ と $7$ (あるいは別の偶数と奇数のペアでも良い)からなる $n$ 桁の数であって、$2^n$ の倍数であるようなものが唯一存在します(https://x.com/solove_math/status/797082255801753600, 2025年7月7日アクセス)。
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