[E] 肩の2が降りる

masorata 自動ジャッジ 難易度: 数学 > 高校数学
2025年8月16日21:00 正解数: 5 / 解答数: 7 (正答率: 71.4%) ギブアップ不可
関数方程式 まそらた杯 極限 競技数学
この問題はコンテスト「第4回まそらた杯」の問題です。

解答

17105


解説

以下、底を明示しない $\log$ は自然対数を表すものとする。

正の実数 $x$ に対して関数 $g(x)$ を次のように定義する:

$$
g(x)=
\begin{cases}
\displaystyle \frac{\log_2{x}}{1-x} \ \ \ &&(x \neq 1)\\
\displaystyle -\log_2 e\ \ \ &&(x=1)\\
\end{cases}
$$

この $g(x)$ は $x\neq 1$ では明らかに連続で、$x=1$ では極限値 $\displaystyle \lim_{x\to 1}\frac{\log_2 (x)}{1-x}=\lim_{t\to 0}\left(-\frac{1}{\log 2}\right)\cdot\left(\frac{\log (t+1)}{t}\right)=-\log_2 e$ と $g(1)=-\log_2 e$ が一致するので、$g(x)$ は全ての $x>0$ で連続である。

また、$x\neq1$ に対して

$$
\begin{eqnarray}
g(x^2) &=& \frac{\log_2{x^2}}{1-x^2} \\
&=& \frac{2\log_2{x}}{(1-x)(1+x)} \\
&=& \frac{\log_2{x}}{1-x} + \frac{\log_2{x}}{1+x} \\
&=& g(x) + \frac{\log_2{x}}{x+1}
\end{eqnarray}
$$

が成り立つ。また $x=1$ のときも、$g(x^2)=g(x)=-\log_2 e, \displaystyle \frac{\log_2{x}}{x+1}=0$ なので、やはり $\displaystyle g(x^2) = g(x) + \frac{\log_2{x}}{x+1}$ が成り立つ。

したがって、$f(x)=g(x)$ とすれば元の関数方程式を満たすので、求める値は
$$
\begin{eqnarray}
f(16)-f(8)&=&g(16)-g(8)\\
&=& \frac{\log_2{16}}{1-16} - \frac{\log_2{8}}{1-8} \\
&=& -\frac{4}{15} - \left(-\frac{3}{7} \right) \\
&=& \frac{17}{105}
\end{eqnarray}
$$

である。

なお、答えを求めるだけならこれでよいが、値の一意性は以下のように証明できる:

先ほど定義した $g(x)$ を用いて $f(x)=g(x)+h(x)$ とおくと、$h(x)$ は連続関数で、任意の $x>0$ に対して

$$h(x^2)=h(x)\ \ \ \ \ \ (\ast)$$

をみたす。$(\ast)$ を繰り返し用いることで、任意の実数 $t\neq 1$ と任意の正の整数 $n$ に対して、

$$h(t)=h(t^{1/2^{n}})$$

が成り立つ。$h(x)$ は連続なので、$\displaystyle \lim_{n\to \infty }h(t^{1/2^{n}}) = h\left(\lim_{n\to \infty} t^{1/2^{n}}\right) = h(1)$ が成り立つ。よって 任意の $t\neq 1$ に対して $h(t)=h(1)$ が成り立つ。すなわち $h(x)$ は定数関数である。よって、題意を満たす関数 $f$ の候補は $f(x)=g(x)+c$( $c$ は任意定数)と書けるものに絞られるが、このような $f$ はすべて条件を満たす。よって、$f(16)-f(8)=g(16)-g(8)$ の値は一意に定まる。


補足

・$g(x)$ の形を思いつかない場合、無限級数の計算に持ち込むこともできます。任意の $x\neq 1$ に対して関数方程式を繰り返し用いて

$$
\begin{eqnarray}
f(x) &=& f(x^{1/2}) + \frac{\log_2(x^{1/2})}{x^{1/2}+1} \\
&=& \left( f(x^{1/4}) + \frac{\log_2(x^{1/4})}{x^{1/4}+1} \right) + \frac{\log_2(x^{1/2})}{x^{1/2}+1} \\
&=& \ldots \\
&=& f(x^{1/2^n}) + \sum_{k=1}^{n} \frac{\log_2(x^{1/2^k})}{x^{1/2^k}+1}\\
&=& f(x^{1/2^n}) + (\log_2 x) \sum_{k=1}^{n} \frac{1}{2^k(x^{1/2^k}+1)}
\end{eqnarray}
$$

が成り立ちます。$f$ の連続性から $n\to \infty$ で $f(x^{1/2^n})\to f(1)$ (定数)なので、

$$
S(x)=\sum_{k=1}^{\infty} \frac{1}{2^k(x^{1/2^k}+1)}
$$

を求める問題に帰着します。ここで各項は

$$
\frac{1}{2^k(x^{1/2^k}+1)} = \frac{1}{2^k(x^{1/2^k}-1)} - \frac{2}{2^k(x^{1/2^{k-1}}-1)} = \frac{1}{2^k(x^{1/2^k}-1)} - \frac{1}{2^{k-1}(x^{1/2^{k-1}}-1)}
$$

と変形できるので、部分和 $\displaystyle S_n(x)=\sum_{k=1}^{n} \frac{1}{2^k(x^{1/2^k}+1)}$ は

$$
\begin{eqnarray}
S_n(x) &=& \sum_{k=1}^{n} \frac{1}{2^k(x^{1/2^k}+1)} \\
&=& \sum_{k=1}^{n} \left( \frac{1}{2^k(x^{1/2^k}-1)} - \frac{1}{2^{k-1}(x^{1/2^{k-1}}-1)}\right) \\
&=& \frac{1}{2^n(x^{1/2^n}-1)} - \frac{1}{x-1}
\end{eqnarray}
$$

となります。$h = \frac{1}{2^n}$ とおくと、$n \to \infty$ のとき $h \to 0$ で、

$$
\lim_{n \to \infty} \frac{1}{2^n(x^{1/2^n}-1)} = \lim_{h \to 0} \frac{h}{x^h-1} = \frac{1}{\log x}
$$

なので、

$$
\begin{eqnarray}
S(x) &=& \sum_{k=1}^{\infty} \frac{1}{2^k(x^{1/2^k}+1)} \\
&=& \frac{1}{\log x} - \frac{1}{x-1}
\end{eqnarray}
$$

です。したがって

$$
\begin{eqnarray}
f(x) &=&f(1)+(\log_2 x) \sum_{k=1}^{\infty} \frac{1}{2^k(x^{1/2^k}+1)} \\
&=& f(1) + \frac{\log_2 x }{\log x} - \frac{\log_2 x}{x-1}\\
&=& f(1) + \log_2 e - \frac{\log_2 x}{x-1}\\
&=& f(1) + \log_2 e + \frac{\log_2 x}{1-x}\\
\end{eqnarray}
$$

が導けます。$x=1$ での連続性の確認や十分性については上の解説と同様です。


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問題文

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(1)$\displaystyle \frac{\sigma ^2}{d^{\alpha}}$ が $d$ によらない定数となるような $\alpha$ の値は $\alpha=\fbox{ア}$ である。$n=12$ のとき、$\sigma^2$ を具体的に計算すると

$$
\sigma ^2 = \frac{\fbox{イ}-\sqrt{\fbox{ウ}}}{\fbox{エ}}d^{\fbox{ア}}
$$

である。

(2)極限 $\displaystyle \lim_{n\to\infty}n^{\beta}\sigma^2$ が $0$ でない有限の値に収束するような $\beta$ の値は $\beta=\fbox{オ}$ である。$\displaystyle d=\frac{1}{12\pi}$ のとき、その極限値は

$$
\lim_{n\to\infty}n^\fbox{オ}\sigma^2 = \frac{\fbox{カ}}{\fbox{キクケ}}
$$

である。

解答形式

ア〜カには、0から9までの数字が入る。
(1)の答えとして、文字列「アイウエ」を半角で1行目に入力せよ。
(2)の答えとして、文字列「オカキクケ」を半角で2行目に入力せよ。
なお、「ア」や「オ」には0や1が入ることもありうる。
また、分数はできるだけ約分された形で、根号の中身が最小となるように答えよ。
3行目以降に改行して回答すると、不正解となるので注意せよ。

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極限値
$$
\lim_{n \to \infty} \dfrac{K_{n}}{D_{n}}
$$
を求めよ。

解答形式

電卓を用いるなどして極限値の小数第5位までを解答してください.(0.1234567...の場合0.12345と解答する)

備考

本問は京大作問サークル理系模試2019の第1回6番に掲載している問題です.

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半角数字で解答してください。

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このとき、
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解答形式

半角数字で入力してください。


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垂川さんの行動にかかわらず、うまく行動すれば塩見さんが必ず勝てるような組 $(N,M)$ はいくつあるか。

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条件を満たす $n$ の最小値を半角数字で1行目に入力せよ。
2行目以降に改行して回答すると、不正解となるので注意せよ。

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問題

複素数の定数 $\alpha$ に対し、$|z- \alpha\bar{z}|\leq1-|\alpha|^2$ を満たす複素数 $z$ 全体の集合を $D$ とおく。以下の解答欄を埋めよ。

(1)$\alpha=0$ のとき、$D$ は複素数平面上で原点を中心とする半径 $\fbox{ア}$ の円の周上および内部になる。

次に $|\alpha|>0$ の場合を考える。以下、$\displaystyle \arg \alpha=\frac{6}{11}\pi$ とする。

(2) $|\alpha|=1$ のとき、$D$ は複素数平面上で原点を通る直線となり、偏角が $\displaystyle \frac{\fbox{イ}}{\fbox{ウエ}}\pi,\ \frac{\fbox{オカ}}{\fbox{キク}}\pi$ であるような複素数を全て含む。ただし $0\leq \displaystyle \frac{\fbox{イ}}{\fbox{ウエ}}\pi < \frac{\fbox{オカ}}{\fbox{キク}}\pi<2\pi$ とする。

(3) $0<|\alpha|<1$ の場合を考えよう。原点を中心として $z$ を反時計回りに $\displaystyle -\frac{\fbox{イ}}{\fbox{ウエ}}\pi$ だけ回転させた複素数を $w$ とおく(ただし $z=0$ のときは $w=0$ とする)。$z$ が $|z- \alpha\bar{z}|\leq1-|\alpha|^2$ を満たして動くときに $w$ が動く領域について考察することで、$D$ に対応する複素数平面上の図形が明らかになる。特に $|\alpha|=0.4$ のとき、$D$ の面積は $\displaystyle\frac{\fbox{ケコ}}{\fbox{サシ}}\pi$ である。

解答形式

解答欄ア〜シには、それぞれ0から9までの数字が1つ入る。同じカタカナの解答欄には同じ数字が入る。

(1)の答えとして、文字「ア」を半角で1行目に入力せよ。

(2)の答えとして、文字列「イウエオカキク」を半角で2行目に入力せよ。

(3)の答えとして、文字列「ケコサシ」を半角で3行目に入力せよ。

なお、分数はできるだけ約分された形となるように答えること。

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【補助線主体の図形問題 #115】
 今週の図形問題です。今回は重めの問題にしてみました。とはいえ、補助線が活躍するのはいつも通りです。じっくり腰を据えて挑戦してください!

解答形式

${
\def\cm{\thinspace \mathrm{cm}}
}$ 解答は小数第3位を四捨五入して、小数第2位までを単位なしで入力してください。
(例) $12\cm$ → $\color{blue}{12.00}$  $10\sqrt{2}\cm$ → $\color{blue}{14.14}$  $\dfrac{1+\sqrt{5}}{2} \cm$ → $\color{blue}{1.62}$
 入力を一意に定めるための処置です。
 たとえば答えに無理数を含む場合、$\sqrt{2}=1.41$や$\pi=3.14$などでは必要な桁が足りない場合があるのでご注意ください。
 近似値を求める際には、関数電卓やグーグルの電卓機能、Wolfram|Alpha https://www.wolframalpha.com などのご利用をお勧めします。