[E] ピザ格差

masorata 自動ジャッジ 難易度: 数学 > 高校数学
2024年7月5日21:00 正解数: 5 / 解答数: 11 (正答率: 45.5%) ギブアップ不可
平面図形 三角関数 まそらた杯 極限 データの分析
この問題はコンテスト「第3回まそらた杯」の問題です。

解答

$\sigma^2$ を $n,d$ の式で表そう。$\displaystyle \theta=\frac{2\pi}{n}$ とおく。$\mathrm O(0,0)$ を原点とする座標平面を考えると、$\mathrm O’(d,0),\ \mathrm P_i(\cos{(i-1)\theta},\sin{(i-1)\theta})\ (i=1,2,\ldots,n+1)$ とおける。なお、$\mathrm P_{n+1}=\mathrm P_1$ とする。

直線 $\mathrm P_{i} \mathrm P_{i+1}$ の方程式は、

\begin{eqnarray}
&&\left(\cos{(i-1)\theta}-\cos{i\theta} \right)(y-\sin{i\theta})=\left(\sin{(i-1)\theta}-\sin{i\theta} \right)(x-\cos{i\theta}) \\
\Leftrightarrow&& \left(\sin{(i-1)\theta}-\sin{i\theta} \right)x - \left(\cos{(i-1)\theta}-\cos{i\theta} \right) y+\sin\theta =0
\end{eqnarray}
であるから、点 $\mathrm{O'}$ との距離 $l_i$ は、
\begin{eqnarray}
l_i=&&\frac{d\left(\sin{(i-1)\theta}-\sin{i\theta} \right)-0\times\left(\cos{(i-1)\theta}-\cos{i\theta} \right)+\sin\theta}{\sqrt{\left(\sin{(i-1)\theta}-\sin{i\theta} \right)^2+ \left(\cos{(i-1)\theta}-\cos{i\theta} \right)^2}} \\
=&& \frac{d\left(\sin{(i-1)\theta}-\sin{i\theta} \right)+\sin\theta}{2\sin{\frac{\theta}{2}}}
\end{eqnarray}
と計算できる。また、線分 $\mathrm P_{i} \mathrm P_{i+1}$ の長さは $n$ によらず $2\sin{\frac{\theta}{2}}$ である。

よって、三角形$\mathrm O' \mathrm P_{i} \mathrm P_{i+1}$ の面積は
\begin{eqnarray}
&&\frac{1}{2}\cdot 2\sin{\frac{\theta}{2}} \cdot l_i \\
=&&\frac{1}{2}\left( d\left(\sin{(i-1)\theta}-\sin{i\theta} \right)+\sin\theta \right)
\end{eqnarray}
である。$i$ 番目のピザは、三角形$\mathrm O' \mathrm P_{i} \mathrm P_{i+1}$ に、線分 $\mathrm P_{i} \mathrm P_{i+1}$ と弧 $\mathrm P_{i} \mathrm P_{i+1}$ で囲まれた部分を付け加えたものである。後者の面積は
$$
\frac{\pi}{n}-\frac{1}{2}\sin\theta
$$
なので、
\begin{eqnarray}
S_i&=&\frac{1}{2}\left( d\left(\sin{(i-1)\theta}-\sin{i\theta} \right)+\sin\theta \right)+\frac{\pi}{n}-\frac{1}{2}\sin\theta \\
&=&\frac{d}{2}\left(\sin{(i-1)\theta}-\sin{i\theta} \right) +\frac{\pi}{n}
\end{eqnarray}
と計算できる。よって分散 $\sigma^2$ は
\begin{eqnarray}
\sigma^2&=&\frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n}\left(\frac{d}{2}\left(\sin{(i-1)\theta}-\sin{i\theta} \right) \right)^2 \\
&=& \frac{d^2}{4n}\sum_{i=1}^{n}\left(\sin{(i-1)\theta}-\sin{i\theta} \right)^2 \\
&=& \frac{d^2}{2n}\left(\sum_{i=1}^{n}\sin^2{i\theta} -\sum_{i=1}^{n}\sin{((i-1)\theta)}\sin{i\theta}\right) \\
&=& \frac{d^2}{2n}\left( \frac{n}{2} -\frac{n}{2}\cos\left(\frac{2\pi}{n}\right)\right) \\
&=& \frac{d^2}{4}\left(1-\cos\left(\frac{2\pi}{n}\right) \right)
\end{eqnarray}
と表すことができる。

(1)$\displaystyle \frac{\sigma ^2}{d^{\alpha}}$ が $d$ によらない定数となるような $\alpha$ の値は $\alpha=2$ である。また $n=12$ のとき、$\sigma^2$ を具体的に計算すると、

\begin{eqnarray}
\sigma^2&=& \frac{d^2}{4}\left(1-\cos\left(\frac{\pi}{6}\right) \right) \\
&=& \frac{d^2}{4}\left(1-\frac{\sqrt{3}}{2} \right) \\
&=& \frac{2-\sqrt{3}}{8} d^2
\end{eqnarray}
である。

(2)$n$ が十分大きいとき、
$$
1-\cos\left(\frac{2\pi}{n}\right) = \frac{1}{2}\left(\frac{2\pi}{n}\right)^2+O\left(\left(\frac{2\pi}{n}\right)^4\right)
$$
である。よって極限 $\displaystyle \lim_{n\to\infty}n^{\beta}\sigma^2$ が $0$ でない有限の値に収束するような $\beta$ の値は $\beta=2$ である。極限値 $\displaystyle \lim_{n\to\infty}n^2\sigma^2$ は
\begin{eqnarray}
\lim_{n\to\infty}n^2\sigma^2&=& \frac{d^2}{4}\cdot \frac{1}{2}(2\pi)^2 \\
&=& \frac{\pi^2d^2}{2} \\
\end{eqnarray}
であり、特に $\displaystyle d=\frac{1}{12\pi}$ のとき

$$
\lim_{n\to\infty}n^2\sigma^2 = \frac{1}{288}
$$

である。


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$$
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$$

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