[C] アリスの宝探し

masorata 自動ジャッジ 難易度: 数学 > 高校数学
2025年8月16日21:00 正解数: 10 / 解答数: 25 (正答率: 40%) ギブアップ不可
平面図形 まそらた杯 ゲーム 競技数学
この問題はコンテスト「第4回まそらた杯」の問題です。

解答

1003

解説

最大値が $N=1003$ であることを示すには、以下の命題1,2を示せばよい。


命題1: $\mathrm{T}$ の位置にかかわらず、アリスがうまく行動すれば $1003$ ターン目で確実に宝を見つけることができる。


証明: アリスは、$\mathrm{A_{1}}=(1,0)$, $\mathrm{A_{2}}=(1/2,\sqrt{3}/2)$, $\mathrm{{A_3}}=(0,0)$ と動くことにする。まず、偶然 $\mathrm{T}=\mathrm{A_{1}},\mathrm{A_{2}},\mathrm{A_{3}}$ であったときは、それぞれ $1,2,3$ ターン目の終わりに宝を見つけられる。そうでないと仮定し、$\mathrm{T}=(u,v)$ とおく。中心を$\mathrm{A_{1}},\mathrm{A_{2}},\mathrm{A_{3}}$ とする半径 $d_1,d_2,d_3$ の円をそれぞれ $C_1,C_2,C_3$ とおく。いま $d_1,d_2,d_3 > 0$ なのでこれらは確かに円であり、いずれも $\mathrm{T}$ を通る。$v=0$ のとき、$C_1$ と $C_3$ はただ一点 $\mathrm{T}=(u,0)$ を共有するので、$C_1,C_2,C_3$ の共有点は $\mathrm{T}$ だけである。$v\neq 0$ のとき、$C_1$ と $C_3$ の共有点は $2$ 点 $(u,v),(u,-v)$ だが、これらと $\mathrm{A_{2}}=(1/2,\sqrt{3}/2)$ との距離は $v\neq 0$ のとき必ず異なるので、$C_2$ が点 $(u,-v)$ を通ることはない。よってこの場合も $C_1,C_2,C_3$ の共有点は $\mathrm{T}$ だけである。したがって、$3$ ターン目の終わりにアリスは $\mathrm{T}$ を正確に特定できることがわかる。

あとはアリスが原点 $\mathrm{{A_3}}=(0,0)$ にいる状態から、特定した $\mathrm{T}$ まで $1000$ ターン以内に辿り着けることを示せば良い。$\mathrm{{TA_3}}=l$ とおく。いま、$\mathrm{T}\neq \mathrm{A_{3}}$ の場合を考えているので $0<l\leq1000$ である。

・整数 $1\leq m \leq 1000$ を用いて $\mathrm{{TA_3}}=m$ と書けるとき

このとき、アリスは $\mathrm{T}$ まで一直線に進み続けることで、$3+m\ (\leq 1003)$ ターン目で宝を見つける。

・$0<l<1$ のとき

このとき、$4$ターン目にアリスは、$\angle \mathrm{{TA_3A_4}}$ が $\displaystyle \cos\theta=\frac{l}{2}$ を満たすような角度 $\theta$ に等しくなるような方向に距離 $1$ だけ移動する。すると三角形 $\Delta \mathrm{{TA_3A_4}}$ は $\mathrm{{A_3A_4}}=\mathrm{{TA_4}}=1, \mathrm{{TA_3}}=l$ をみたすので、$5$ ターン目に $\mathrm{{T=A_5}}$ に移動することで宝を見つける。

・$1<l<2,2<l<3,\ldots, 999<l<1000$ のとき(つまり、$l$ が整数でなく、$l$ を超えない最大の整数 $m$ が $1 \leq m \leq 999$ であるとき)

このとき、$4$ターン目にアリスは、$\angle \mathrm{{TA_3A_4}}$ が $\displaystyle \cos\theta=\frac{1+l^2-m^2}{2l}$ を満たすような角度 $\theta$ に等しくなるような方向に距離 $1$ だけ移動する。すると三角形 $\Delta \mathrm{{TA_3A_4}}$ は、 $\mathrm{{A_3A_4}}=1, \mathrm{{TA_4}}=m, \mathrm{{TA_3}}=l$ をみたすので、$5$ ターン目以降は $\mathrm{{T}}$ に向かってまっすぐ進み続けることで、$4+m\leq1003$ ターン目に宝を見つける。

以上より、すべての $0<l\leq1000$ に対して $1003$ ターン目までに宝を見つける移動経路が存在するため、主張が示された。(証明終)


命題2: アリスがうまく行動したとしても、運が悪ければ $1002$ ターン目までに宝を見つけることができないような $\mathrm{T}$ の位置が存在する。


証明: $0<\delta\leq 1 $ を定数とする。宝の位置を $\mathrm{T_1}=(-1000+\delta, \sqrt{\delta(2000-\delta)})$ とする。また、偽物の宝が点 $\mathrm{T_2}=(-1000+\delta, -\sqrt{\delta(2000-\delta)})$ にあるとする。まず $1$ ターン目では、アリスは $T$ の位置に関する情報を持たないので、どちらの方向に進む可能性もある。よって運が悪ければ $\mathrm{A_1}=(1,0)$ に進む可能性がある。移動後にアリスが距離を測ると、$d_1=\sqrt{998001+2\delta}$ となり、アリスにとって $\mathrm{T}$ の候補は中心 $(1,0)$, 半径$d_1$ の円弧 $\mathrm{T_1T_2}$ の上になる。この円弧は $x$ 軸に関して対称である。

アリスが次に移動する点を $\mathrm{A_2}=(x,y)$ とおく。

・$y \neq 0$ のとき

$\mathrm{T}$ の候補となる円弧が $x$ 軸に関して対称であるので、アリスは$\mathrm{T}$ の $y$ 座標の符号に関する情報を持たない。よって、運が悪ければ $y<0$ となる可能性がある。$\mathrm{A_1}=(1,0)$ を中心とする半径 $1$ の円の $y<0$ の部分と $\mathrm{T_1}$ との距離を考えると、$\mathrm{A_2T_1}$ が $\mathrm{OT_1}=1000$ 以下となることはない。つまり $\mathrm{A_2T_1}>1000$ であるため、残り $1000$ ターンで宝を見つけることはできない。

・$y=0$ のとき

このとき、アリスにとっての $\mathrm{T}$ の候補は $\mathrm{T_1, T_2}$ の $2$ つである。

まず、$x=2$ のときは $d_2^2=4(1001-\delta)+1000^2>1000^2$ なので、明らかに残り $1000$ ターンで宝にたどり着くことはできない。

次に $x=0$ のときは $d_2=1000$ であり、アリスにとっての $\mathrm{T}$ の候補は $\mathrm{T_1, T_2}$ の $2$ つに絞られる。$1002$ ターン目までに宝を見つけるためにはあと $1000$ 回の移動で $\mathrm{T}$ にたどり着く必要があるため、アリスは $\mathrm{T_1, T_2}$ のいずれかを決め打ちしてまっすぐ進むしかない。よって運が悪ければ、アリスは偽物の宝がある $\mathrm{T_2}$ に向かって進むので、$1002$ ターン目で宝を見つけることはない。

以上より、はじめの $2$ ターンでアリスがどのような戦略をとったとしても、運が悪ければ残り $1000$ ターンで宝にたどり着けない場合があることが示された。(証明終)


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なお、本問では $10$ 進法を用いている。

解答形式

半角数字のみで1行目に入力せよ。
$10$ 進法で答えること。


問題

以下の問いに答えよ。

(1)$a,b,c,d$ はいずれも $0$ でない実数の定数で、 $ad-bc\neq 0$ を満たしている。実数 $\displaystyle x\neq -\frac{d}{c} $ に対して関数 $f(x)$ を

$$
\displaystyle f(x)=\frac{ax+b}{cx+d}
$$

と定義すると、

$$
\frac{3\left(f''(x)\right)^2-2f'(x)f'''(x)}{\left(f'(x)\right)^2}
$$

の値は $a,b,c,d$ や $x$ によらないある整数となる。その値を求めよ。

(2)実数 $x$ に対して関数 $g(x)$ を

$$
\displaystyle g(x)=\frac{e^{4x+816}-e^{-4x-816}} {e^{4x+817}+e^{-4x-817}} \ \ \
$$

と定義すると、

$$
\displaystyle \frac{3\left(g''(x)\right)^2-2g'(x)g'''(x)}{\left(g'(x)\right)^2}
$$

の値は $x$ によらないある整数となる。その値を求めよ。

解答形式

0から9までの半角数字および-(マイナス)のうち、必要なものを用いて解答せよ。

(1)の答えを1行目に入力せよ。

(2)の答えを2行目に入力せよ。

たとえば、(1)に $816$、(2)に $-817$ と回答したいときは、

816
-817

と入力せよ。


問題

複素数の定数 $\alpha$ に対し、$|z- \alpha\bar{z}|\leq1-|\alpha|^2$ を満たす複素数 $z$ 全体の集合を $D$ とおく。以下の解答欄を埋めよ。

(1)$\alpha=0$ のとき、$D$ は複素数平面上で原点を中心とする半径 $\fbox{ア}$ の円の周上および内部になる。

次に $|\alpha|>0$ の場合を考える。以下、$\displaystyle \arg \alpha=\frac{6}{11}\pi$ とする。

(2) $|\alpha|=1$ のとき、$D$ は複素数平面上で原点を通る直線となり、偏角が $\displaystyle \frac{\fbox{イ}}{\fbox{ウエ}}\pi,\ \frac{\fbox{オカ}}{\fbox{キク}}\pi$ であるような複素数を全て含む。ただし $0\leq \displaystyle \frac{\fbox{イ}}{\fbox{ウエ}}\pi < \frac{\fbox{オカ}}{\fbox{キク}}\pi<2\pi$ とする。

(3) $0<|\alpha|<1$ の場合を考えよう。原点を中心として $z$ を反時計回りに $\displaystyle -\frac{\fbox{イ}}{\fbox{ウエ}}\pi$ だけ回転させた複素数を $w$ とおく(ただし $z=0$ のときは $w=0$ とする)。$z$ が $|z- \alpha\bar{z}|\leq1-|\alpha|^2$ を満たして動くときに $w$ が動く領域について考察することで、$D$ に対応する複素数平面上の図形が明らかになる。特に $|\alpha|=0.4$ のとき、$D$ の面積は $\displaystyle\frac{\fbox{ケコ}}{\fbox{サシ}}\pi$ である。

解答形式

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(1)の答えとして、文字「ア」を半角で1行目に入力せよ。

(2)の答えとして、文字列「イウエオカキク」を半角で2行目に入力せよ。

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解答形式

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問題

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半角数字のみで1行目に入力せよ。

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解答形式

条件を満たす $n$ の最小値を半角数字で1行目に入力せよ。
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