黒板に書かれている数は常に正の有理数となることに注意する。操作を行う際、選んで消した $2$ つの数を $x,y$ 、新たに書かれる数を $\displaystyle z=\frac{x+y}{1+xy}$ とすると
\begin{eqnarray}
\displaystyle \frac{1-z}{1+z} &=& \frac{1-\frac{x+y}{1+xy}}{1+\frac{x+y}{1+xy}} \\
&=& \frac{(1+xy)-(x+y)}{(1+xy)+(x+y)} \\
&=& \frac{(1-x)(1-y)}{(1+x)(1+y)} \\
&=& \frac{1-x}{1+x}\cdot \frac{1-y}{1+y}
\end{eqnarray}
なので、黒板に書かれている有理数 $a_k$ について、積 $P=\displaystyle \prod_{k} \frac{1-a_k}{1+a_k}$ は操作を何度行っても変化しない。特に、最初と最後で $P$ が等しいので、最後に残った有理数を $r$ とすると
$$
\displaystyle \prod_{k=2}^{n} \frac{1-\frac{1}{k}}{1+\frac{1}{k}} = \frac{1-r}{1+r}
$$
が成り立つ。ここで左辺は
\begin{eqnarray}
\displaystyle \prod_{k=2}^{n} \frac{1-\frac{1}{k}}{1+\frac{1}{k}} &=& \prod_{k=2}^{n} \frac{k-1}{k+1} \\
&=& \frac{1}{3}\cdot \frac{2}{4} \cdots \frac{n-2}{n}\cdot \frac{n-1}{n+1} \\
&=& \frac{2}{n(n+1)}
\end{eqnarray}
であるから、$\displaystyle \frac{2}{n(n+1)}=\frac{1-r}{1+r}$ を $r$ について解いて
$$
r=\frac{n^2+n-2}{n^2+n+2}
$$
が分かる。分母と分子の最大公約数は $2,4$ のいずれかであり、どちらも $899$ とは互いに素なので、$r$ を既約分数で表した時の分子が $899$ で割り切れることは、$n^2+n-2=(n+2)(n-1)$ が $899$ で割り切れることと同値である。$899=29\times31$ なので、素因数 $29,31$ を $(n+2)$,$(n-1)$ のどちらに割り振るかで場合分けする。
・$n-1$ が $29,31$ で割り切れるとき
このような $n$ の最小値は $n=900=29\times31+1$ である。
・$n+2$ が $29,31$ で割り切れるとき
このような $n$ の最小値は $n=897=29\times31-2$ である。
・$n+2$ が $29$ で割り切れ、$n-1$ が $31$ で割り切れるとき
$n+2=29l,n-1=31m$ なる整数 $l,m$ をとると、$29l-31m=3$ である。$29\times15-31\times14=1$ なので、 $3$ 倍することで特殊解 $l=45,m=42$ が得られる。よって $n=29\times45-2=31\times42+1=1303$ が条件を満たす $n$ のひとつで、一般解は整数 $k$ を用いて $n=1303+899k$ と表せる。$n\geq 3$ のとき、このような $n$ の最小値は $n=404$ である。
・$n-1$ が $29$ で割り切れ、$n+2$ が $31$ で割り切れるとき
$n-1=29l,n+2=31m$ なる整数 $l,m$ をとると、$29l-31m=-3$ である。$29\times15-31\times14=1$ なので、 $-3$ 倍することで特殊解 $l=-45,m=-42$ が得られる。よって $n=29\times(-45)+1=31\times(-42)-2=-1304$ が条件を満たす $n$ のひとつで、一般解は整数 $k$ を用いて $n=-1304+899k$ と表せる。$n\geq 3$ のとき、このような $n$ の最小値は $n=494$ である。
以上より求める $n$ の最小値は $n=404$ である。
$\tanh$ の加法定理は $\displaystyle \tanh{(x+y)}=\frac{\tanh{x}+\tanh{y}}{1+\tanh{x}\tanh{y}}$ という形をしています。よって黒板に書かれた数 $a_k$ について、$\displaystyle \tanh^{-1}(a_k)=\frac{1}{2}\log\left(\frac{1+a_k}{1-a_k}\right)$ の和は操作を行なっても一定であることがわかります。これは積 $P=\displaystyle \prod_{k} \frac{1-a_k}{1+a_k}$ が一定であることと同値です。
なお、数値実験をして、$r$ がどのような $n$ の式で書けるかを推測しても解けるかもしれません。
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