[D] 分数だらけの黒板

masorata 自動ジャッジ 難易度: 数学 > 高校数学
2024年7月5日21:00 正解数: 13 / 解答数: 30 (正答率: 43.3%) ギブアップ不可
整数 まそらた杯
この問題はコンテスト「第3回まそらた杯」の問題です。

解答

黒板に書かれている数は常に正の有理数となることに注意する。操作を行う際、選んで消した $2$ つの数を $x,y$ 、新たに書かれる数を $\displaystyle z=\frac{x+y}{1+xy}$ とすると

\begin{eqnarray}
\displaystyle \frac{1-z}{1+z} &=& \frac{1-\frac{x+y}{1+xy}}{1+\frac{x+y}{1+xy}} \\
&=& \frac{(1+xy)-(x+y)}{(1+xy)+(x+y)} \\
&=& \frac{(1-x)(1-y)}{(1+x)(1+y)} \\
&=& \frac{1-x}{1+x}\cdot \frac{1-y}{1+y}
\end{eqnarray}

なので、黒板に書かれている有理数 $a_k$ について、積 $P=\displaystyle \prod_{k} \frac{1-a_k}{1+a_k}$ は操作を何度行っても変化しない。特に、最初と最後で $P$ が等しいので、最後に残った有理数を $r$ とすると

$$
\displaystyle \prod_{k=2}^{n} \frac{1-\frac{1}{k}}{1+\frac{1}{k}} = \frac{1-r}{1+r}
$$

が成り立つ。ここで左辺は

\begin{eqnarray}
\displaystyle \prod_{k=2}^{n} \frac{1-\frac{1}{k}}{1+\frac{1}{k}} &=& \prod_{k=2}^{n} \frac{k-1}{k+1} \\
&=& \frac{1}{3}\cdot \frac{2}{4} \cdots \frac{n-2}{n}\cdot \frac{n-1}{n+1} \\
&=& \frac{2}{n(n+1)}
\end{eqnarray}

であるから、$\displaystyle \frac{2}{n(n+1)}=\frac{1-r}{1+r}$ を $r$ について解いて

$$
r=\frac{n^2+n-2}{n^2+n+2}
$$

が分かる。分母と分子の最大公約数は $2,4$ のいずれかであり、どちらも $899$ とは互いに素なので、$r$ を既約分数で表した時の分子が $899$ で割り切れることは、$n^2+n-2=(n+2)(n-1)$ が $899$ で割り切れることと同値である。$899=29\times31$ なので、素因数 $29,31$ を $(n+2)$,$(n-1)$ のどちらに割り振るかで場合分けする。

・$n-1$ が $29,31$ で割り切れるとき
このような $n$ の最小値は $n=900=29\times31+1$ である。

・$n+2$ が $29,31$ で割り切れるとき
このような $n$ の最小値は $n=897=29\times31-2$ である。

・$n+2$ が $29$ で割り切れ、$n-1$ が $31$ で割り切れるとき
$n+2=29l,n-1=31m$ なる整数 $l,m$ をとると、$29l-31m=3$ である。$29\times15-31\times14=1$ なので、 $3$ 倍することで特殊解 $l=45,m=42$ が得られる。よって $n=29\times45-2=31\times42+1=1303$ が条件を満たす $n$ のひとつで、一般解は整数 $k$ を用いて $n=1303+899k$ と表せる。$n\geq 3$ のとき、このような $n$ の最小値は $n=404$ である。

・$n-1$ が $29$ で割り切れ、$n+2$ が $31$ で割り切れるとき
$n-1=29l,n+2=31m$ なる整数 $l,m$ をとると、$29l-31m=-3$ である。$29\times15-31\times14=1$ なので、 $-3$ 倍することで特殊解 $l=-45,m=-42$ が得られる。よって $n=29\times(-45)+1=31\times(-42)-2=-1304$ が条件を満たす $n$ のひとつで、一般解は整数 $k$ を用いて $n=-1304+899k$ と表せる。$n\geq 3$ のとき、このような $n$ の最小値は $n=494$ である。

以上より求める $n$ の最小値は $n=404$ である。

補足

$\tanh$ の加法定理は $\displaystyle \tanh{(x+y)}=\frac{\tanh{x}+\tanh{y}}{1+\tanh{x}\tanh{y}}$ という形をしています。よって黒板に書かれた数 $a_k$ について、$\displaystyle \tanh^{-1}(a_k)=\frac{1}{2}\log\left(\frac{1+a_k}{1-a_k}\right)$ の和は操作を行なっても一定であることがわかります。これは積 $P=\displaystyle \prod_{k} \frac{1-a_k}{1+a_k}$ が一定であることと同値です。
なお、数値実験をして、$r$ がどのような $n$ の式で書けるかを推測しても解けるかもしれません。


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$$
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$$

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$$
\sigma ^2 = \frac{\fbox{イ}-\sqrt{\fbox{ウ}}}{\fbox{エ}}d^{\fbox{ア}}
$$

である。

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$$
\lim_{n\to\infty}n^\fbox{オ}\sigma^2 = \frac{\fbox{カ}}{\fbox{キクケ}}
$$

である。

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(2)の答えとして、文字列「オカキクケ」を半角で2行目に入力せよ。
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${
\def\cm{\thinspace \mathrm{cm}}
}$ 解答は小数第3位を四捨五入して、小数第2位までを単位なしで入力してください。
(例) $12\cm$ → $\color{blue}{12.00}$  $10\sqrt{2}\cm$ → $\color{blue}{14.14}$  $\dfrac{1+\sqrt{5}}{2} \cm$ → $\color{blue}{1.62}$
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 たとえば答えに無理数を含む場合、$\sqrt{2}=1.41$や$\pi=3.14$などでは必要な桁が足りない場合があるのでご注意ください。
 近似値を求める際には、関数電卓やグーグルの電卓機能、Wolfram|Alpha https://www.wolframalpha.com などのご利用をお勧めします。

自作問題No.2

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 任意の整数 $k,l$ $(0\leqq k\leqq4,0\leqq l\leqq7)$ に対し、
$\lbrace a_{8k+l},a_{8k+l+8},a_{8k+l+16},a_{8k+l+24}\rbrace$ に含まれる白色の球と黒色の球が共に偶数個

解答形式

半角数字で解答してください.