ア | イ | ウ | エ | オ | カ | キ | ク | ケ | コ |
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3 |
1 |
0 |
1 |
0 |
0 |
1 |
2 |
- |
4 |
サ | シ | ス | セ | ソ | タ | チ | ツ | テ | ト |
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3 |
1 |
1 |
1 |
1 |
2 |
- |
2 |
2 |
1 |
ナ | ニ | ヌ | ネ | ノ | ハ | ヒ | フ |
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2 |
1 |
2 |
4 |
9 |
4 |
9 |
5 |
漸化式
an+3=3an+2−4an+1+2an(n=1,2,⋯)を満たす数列全体の集合を V とするとき,V が C 上のベクトル空間になることは次のようにして示されます。非自明なのは,V が和とスカラー倍について閉じていることだけですから,an,bn∈V および c∈C に対して can,an+bn∈V であることを示せば証明が完了します。an,bn は V の元なので,n=1,2,⋯ に対して
an+3=3an+2−4an+1+2anbn+3=3bn+2−4bn+1+2bnが成り立ちます。第 1 式の c 倍と第 1 式 + 第 2 式をつくれば
can+3=3⋅can+2−4⋅can+1+2⋅canan+3+bn+3=3(an+2+bn+2)−4(an+1+bn+1)+2(an+bn)となり,これは can,an+bn がともに漸化式を満たすことを意味しています。よって can,an+bn∈V で,V は和とスカラー倍について閉じています。V は C 上のベクトル空間になります。
次に,写像 φ:V→C3 を
φ(an)=(a1a2a3)で定めるとき,φ がベクトル空間の同型写像であることを確認しましょう。まず,漸化式を使えば,任意の a1,a2,a3∈C に対して a1,a2,a3 を初めの 3 項にもつような V の元を構成することができます。よって φ は全射です。また,an,bn∈V に対して,an,bn の初めの 3 項が同じであれば an,bn は数列として一致するので φ は単射でもあります。さらに,an,bn∈V および c∈C に対して,can∈V の最初の 3 項は ca1,ca2,ca3,an+bn∈V の最初の 3 項は a1+b1,a2+b2,a3+b3 ですから φ−1 は線型写像です。以上の議論より,φ がベクトル空間の同型写像であることが示されました。C3 は 3 次元なので,それと同型な V も 3 次元のベクトル空間です。
同型写像によって基底は基底に移りますから,C3 の基底
(100),(010),(001)の φ−1 による像 e(1)n,e(2)n,e(3)n は V の基底になります。
V 上の線型変換 L:V→V を問題文のように定義すると,これは an∈V に対して L(an)=an+1 と定義したことと等価になります。すなわち,L は数列の項をひとつずらす写像です。L が線型写像であることは,L によって基底 e(1)n,e(2)n,e(3)n による表示が
(a1a2a3)↦(a2a3a4)=(a2a32a1−4a2+3a3)のように移ることから従います。また,上式より
(a1a2a3)↦(0100012−43)(a1a2a3)が成り立つので,L の表現行列 LA は
LA=(0100012−43)となります。
LA の固有値を λ とすると,固有方程式(特性方程式)は
det(−λ100−λ12−43−λ)=0すなわち
λ3−3λ2+4λ−2=0(λ−1)(λ2−2λ+2)=0となりますから,固有値は
λ=1,1+i,1−iです。これらを順に λ(1),λ(2),λ(3) とおくことにします。
固有値 λ(1),λ(2),λ(3) に対する L の固有ベクトル(これは V の元なので数列です)を β(1)n,β(2)n,β(3)n とすると,固有値・固有ベクトルの定義より
L(β(1)n)=β(1)nL(β(2)n)=(1+i)β(2)nL(β(3)n)=(1−i)β(3)nが成り立ちます。L は数列の項をひとつずらす写像だったので,これは
β(1)n+1=β(1)nβ(2)n+1=(1+i)β(2)nβ(3)n+1=(1−i)β(3)nを意味します。よって β(1)n,β(2)n,β(3)n はそれぞれ公比が 1,1+i,1−i の等比数列です。特に,初項が
β(1)1=1,β(2)1=1+i,β(3)3=1−iとなるように β(1)n,β(2)n,β(3)n を定めれば,その一般項は
β(1)n=1β(2)n=(1+i)nβ(3)n=(1−i)nとなり,最初の 3 項は
α(1)=(111),α(2)=(1+i(1+i)2(1+i)3),α(3)=(1−i(1−i)2(1−i)3)です。特に (1+i)2=2i,(1−i)3=−2−2i となります。
最後に,V の元のうちで
a1=1,a2=0,a3=0となるような数列 an∈V を求めます。そのために,an を L の固有ベクトルからなる基底 β(1)n,β(2)n,β(3)n の線型結合で表すことを考えます。もとの基底 e(1)n,e(2)n,e(3)n と新しい基底 β(1)n,β(2)n,β(3)n の関係は
β(1)n=e(1)n+e(2)n+e(3)nβ(2)n=(1+i)e(1)n+2ie(2)n+(−2+2i)e(3)nβ(3)n=(1−i)e(1)n−2ie(2)n+(−2−2i)e(3)nとなるので,逆に解いて
e(1)n=2β(1)n−β(2)n−β(3)n2iが得られます。an は e(1)n にほかならないので,その一般項は
an=2β(1)n−β(2)n−β(3)n2i=2−(1+i)n−(1−i)n2i=2−(√2)n⋅einπ/4−e−inπ/42i=2−(√2)nsin(nπ4)と計算できます。
一般項の形から,an は n の増加とともに,振動しながらその振幅を等比数列的に増大させていくことが分かります。sin(nπ/4) の値は
1√2,1,1√2,0,−1√2,−1,−1√2,0,⋯のように 8 項周期で循環します。100≡4(mod8) ですから,a100=2 で,a97,a98,a99<2 です。n=96 で再び a96=2 となり,
a95=2+247a94=2+247a93=2+246が成り立ちます。また,n≤92 のときは
an=2−2n/2sin(nπ4)≤2+2n/2≤2+246となるので,a1,⋯,a100 のうちで an が最大になるのは n=94,95 のときです。
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