[E] お好みの湯加減

masorata 自動ジャッジ 難易度: 数学 > 高校数学
2020年12月5日18:00 正解数: 2 / 解答数: 3 (正答率: 66.7%) ギブアップ不可
数列 まそらた杯
この問題はコンテスト「第2回まそらた杯」の問題です。

解答

題意より、$T_0=T_1=\cdots=T_{N+1}=35$ で、さらに $n=1,2,...$ で以下の漸化式が成り立つ。

$$
T_{n+N+1}-T_{n+N}=a(40-T_n)
$$

ここで $t_n=T_n-40$ とおくと、

$$
t_{n+N+1}-t_{n+N}+at_n=0
$$

となる。よって、初期条件 $t_1=\cdots=t_{N+1}=-5$ のもと $n=1,2,...$ で成り立つ上の漸化式で定まる数列 $\{ t_n \}$ について、$\displaystyle \lim_{n \to \infty} t_n=0$ となる条件について考えればよい。


(1)$N=1$ とする。初期条件 $t_1=t_2=-5$ のもと、$n=1,2,\ldots$ で成り立つ漸化式

$$
t_{n+2}-t_{n+1}+at_n=0\ \ \cdots(\ast)
$$

を考える。ここで複素数 $z$ の方程式

$$
f_1(z)=z^2-z+a=0
$$

の $2$ 解をそれぞれ $\alpha,\beta$ とおく。

・$\displaystyle a<\frac{1}{4}$ のとき
$\alpha,\beta$ は異なる実数であり、$t_n=A\alpha^n+B\beta^n$ とおくと帰納的に $(*)$ を満たすことがわかる。ここで$A,B$ は初期条件より

$$
\begin{eqnarray}
A+B&=&-5\\
A\alpha+B\beta&=&-5
\end{eqnarray}
$$

を満たす定数で、一意に定まる。ここで、$f_1(0)=f_1(1)=a>0,f_1(1/2)=a-1/4<0$ であるから、$\alpha,\beta$ は区間 $(0,1)$ に含まれ、特に $|\alpha|,|\beta|<1$ が成り立つ。したがって $\displaystyle \lim_{n \to \infty} t_n=0$ である。

・$\displaystyle a=\frac{1}{4}$ のとき
$\displaystyle \alpha,\beta=\frac{1}{2}$ であり、一般項は $\displaystyle t_n=-5\left(\frac{1+n}{2^n}\right)$ であることが確かめられる。よってこのときも$\displaystyle \lim_{n \to \infty} t_n=0$ が成り立つ。

・$\displaystyle \frac{1}{4}<a<1$ のとき
このとき、$\alpha,\beta$ は共役な(実数でない)複素数であり、$\displaystyle a<\frac{1}{4}$ のときと同様に $t_n=A\alpha^n+B\beta^n$ とすれば $(*)$ を満たす。$\alpha,\beta$ の絶対値は等しく、その値は

$$
|\alpha|=|\beta|=\sqrt{\left(\frac{1}{2}\right)^2+\left( \frac{\sqrt{4a-1}}{2} \right)^2}=\sqrt{a}<1
$$

であるから、$\displaystyle \frac{1}{4}<a<1$ のとき $\displaystyle \lim_{n \to \infty} t_n=0$ が成り立つ。

・$a=1$ のとき
$\displaystyle \alpha,\beta=\frac{1}{2}\pm\frac{\sqrt{3}}{2}i$ であり、$|\alpha|=|\beta|=1$ であるから$\{ t_n \}$ は収束しない。実際、$\{ t_n \}=-5,-5,0,5,5,0,-5,-5,\dots$ となって、周期 $6$ で循環する。

以上より、$a_c=\fbox{ア}=1$ である。

(注:答えを出すだけなら、空欄の形から、$a=1$で収束しないことだけ確かめればよい。)


(2)$N=2$ として、初期条件 $t_1=t_2=t_3=-5$ のもとで

$$
t_{n+3}-t_{n+2}+at_n=0\cdots(*)
$$

を考える。ここで複素数 $z$ の方程式

$$
f_2(z)=z^3-z^2+a=0
$$

の $3$ 解をそれぞれ $\alpha,\beta,\gamma$ とおく。

・$\displaystyle a<\frac{4}{27}$ のとき
$\alpha,\beta,\gamma$ は相異なる実数であり、$t_n=A\alpha^n+B\beta^n+C\gamma^n$ とおくと帰納的に $(*)$ を満たすことがわかる。ここで$A,B,C$ は初期条件より

$$
\begin{eqnarray}
A+B+C&=&-5\\
A\alpha+B\beta+C\gamma&=&-5\\
A\alpha^2+B\beta^2+C\gamma^2&=&-5\\
\end{eqnarray}
$$

を満たす実定数で、($\alpha,\beta,\gamma$ が相異なるので)一意に定まる。$y=f_2(x)$のグラフを考えると $|\alpha|,|\beta|,|\gamma|<1$ が成り立つことが簡単に確かめられるので、$\displaystyle \lim_{n \to \infty} t_n=0$ である。

・$\displaystyle a=\frac{4}{27}$ のとき
$\displaystyle \alpha=-\frac{1}{3},\beta=\gamma=\frac{2}{3}$ となり、一般項が $\displaystyle t_n=-\frac{5}{9}\left(-\frac{1}{3}\right)^n-\frac{40+30n}{9}\left(\frac{2}{3}\right)^n$ であることが確かめられる。よってこのときも$\displaystyle \lim_{n \to \infty} t_n=0$ が成り立つ。

・$\displaystyle \frac{4}{27}<a<\frac{-1+\sqrt{5}}{2}$ のとき
このとき $\alpha,\beta,\gamma$ は $1$ つの実数と $2$ つの(実数でない)共役複素数である。$\alpha$ が実数で、$\beta$ の虚部が正であると仮定して一般性を失わない。このときも $t_n=A\alpha^n+B\beta^n+C\gamma^n$ とおくと帰納的に $(*)$ を満たすことがわかり、ここで $A,B,C$ は初期条件より

$$
\begin{eqnarray}
A+B+C&=&-5\\
A\alpha+B\beta+C\gamma&=&-5\\
A\alpha^2+B\beta^2+C\gamma^2&=&-5\\
\end{eqnarray}
$$

を満たす複素数の定数で、($\alpha,\beta,\gamma$ が相異なるので)一意に定まる。

$f_2(z)=0$ の解 $\alpha,\beta,\gamma$ が複素数平面上でどのように位置するか考える。まず実数解の $\alpha$ については、$y=x^3-x^2,y=-a$ のグラフの交点を考えることで、$a<2$ のとき $-1<\alpha<0$ であることがわかる。したがって $|\alpha|<1$ である。

次に $\beta,\gamma$ について考えるため、$x,y$ を実数として(ここで $y\neq0$) $z=x+yi$ とおいて方程式に代入すると、実部と虚部がそれぞれ $0$ であることから以下の連立方程式を得る:

$$
\begin{cases}
(x^3-3xy^2)-(x^2-y^2)+a=0\\
(3x^2y-y^3)-2xy=0
\end{cases}\\
\Leftrightarrow
\begin{cases}
x^3-x^2+a+y^2(-3x+1)=0\\
y^2=x(3x-2)
\end{cases}\\
$$

よって実数$x$ は方程式

$$
\begin{eqnarray}
&&x^3-x^2+a+x(3x-2)(-3x+1)=0\\
\Leftrightarrow && g(x)=8x^3-8x^2+2x=a
\end{eqnarray}
$$

を満たす。$g'(x)=24x^2-16x+2=2(2x-1)(6x-1)$ であるから、$g(x)$ は $x=1/6$ で極大値 $4/27$ 、$x=1/2$ で極小値 $0$ をとることがわかる。よっていま $a>4/27$ なので、$g(x)=a$ の解は $x>1/2$ の範囲にただ一つ存在し、その値は $a$ について単調に増加する。よって $\displaystyle a<\frac{-1+\sqrt5}{2}$ であることから、$\displaystyle x<\frac{1+\sqrt5}{4}$ であり、したがって$|\beta|=|\gamma|=x^2+y^2=x^2+x(3x-2)=4x^2-2x<1$ が成り立つ。よって $\displaystyle \lim_{n \to \infty} t_n=0$ が成り立つ。

・$\displaystyle a=\frac{-1+\sqrt{5}}{2}=0.618...$ のとき
このとき

$$
\begin{eqnarray}
\alpha&=&\frac{1-\sqrt{5}}{2}\\
\beta&=&\frac{1+\sqrt{5}}{4}+\frac{\sqrt{10-2\sqrt{5}}}{4}i\\
\gamma&=&\frac{1+\sqrt{5}}{4}-\frac{\sqrt{10-2\sqrt{5}}}{4}i
\end{eqnarray}
$$

であり、$|\alpha|<1, |\beta|=|\gamma|=1$ を満たす。($B,C$ が $0$ でないことはすぐ確かめられるので)$\{ t_n \}$ は収束しない。

以上より、$\displaystyle a_c=\frac{-1+\sqrt{5}}{2}$ である。したがって $\fbox{イウ}=-1,\fbox{エ}=5,\fbox{オ}=2$ である。

コメント

長々と書いてしまいましたが、要は特性方程式の根の絶対値がいずれも $1$ より小さくなる条件を求めればよいということです。そのような必要十分条件として、Jury条件というものが知られています(https://en.wikipedia.org/wiki/Jury_stability_criterion )。
これを用いると、一般の線形差分方程式の定常解が安定である条件を簡単に求めることができます。

また、本問は、フィードバックシステムにおいて時間遅れがある場合、パラメータがある閾値を超えると定常解が不安定化し、励起振動が生じうるという事実が背景にあります。実際、本問の式の連続版である

$$
\frac{dx(t)}{dt}=-ax(t-T)
$$

($a>0$、$T>0$ は時間遅れを表す定数 )を考えると、定常解 $x=0$ は $aT<\pi/2$ の時に安定となり、$aT>\pi/2$ で振動的な振る舞いが現れます。


おすすめ問題

この問題を解いた人はこんな問題も解いています

[C]線形代数のよくある問題

fusshi 自動ジャッジ 難易度:
3年前

3

問題文

行列$A$を次で定義する。
$$
A=
\begin{pmatrix}
6& -3 & -7 & 0 & 0 & 0\\
-1 & 2 & 1 & 0 & 0 & 0\\
5& -3 & -6 & 0 & 0 & 0\\
0& 0 & 0 & 1 & 2 & 1\\
0& 0 & 0 & -1 & 4 & 1\\
0& 0 & 0 & 2 & -4 & 0\\
\end{pmatrix}
$$
このとき次の実線形空間の次元を求めよ。
$$
V=\{X\in M_{6}(\mathbb{R})\mid AX=XA\}
$$
ただし、$M_{6}(\mathbb{R})$とは6行6列の実正方行列全体の集合である。

解答形式

半角数字で答えよ。

[F] 歪んだバランス

masorata 自動ジャッジ 難易度:
3年前

10

問題文

相異なる正の実数 $a,b,c$ が $ab^2(1-b)=bc^2(1-c)=ca^2(1-a)$ を満たして動くとき、$(1-a)(1-b)(1-c)$ の最大値は

$$
\displaystyle \frac{\fbox{アイウ}+\fbox{エオ}\sqrt{\fbox{カ}}}{\fbox{キクケ}}
$$

である。

解答形式

ア〜ケには、0から9までの数字、または-(マイナス)が入る。文字列「アイウエオカキク」を全て半角で1行目に入力せよ。ただし、それ以上約分できない形で、かつ根号の中身が最小になるように答えよ。

[E] minimum value (hard)

okapin 自動ジャッジ 難易度:
3年前

5

問題文

$a,b$を$a>1,b>1$を満たす実数とする。
$\theta$が$0\leq\theta<2\pi$の範囲を動くとき$f(\theta)=\sqrt{a^2-2a\cos\theta+1}+\sqrt{b^2-2b\sin\theta+1}$の最小値が$\sqrt{a^2+b^2}$となるような$(a,b)$の存在範囲を$ab$平面に図示したとき、その領域の面積を求めよ。

解答形式

整数または既約分数で答えてください。
半角で入力してください。

[F] Slow and Steady

halphy 自動ジャッジ 難易度:
3年前

3

問題文

$n$ を自然数とする。置換 $\sigma\in \mathfrak{S}_n$ に対して,$\sigma$ の近道度 $m(\sigma)$ を次のように定義する。

  • $\sigma$ を 互いに素な(共通元をもたない) 巡回置換の積に表したとき,各巡回置換の長さの積の逆数を $m(\sigma)$ とする。(太字部分は19:42追記)

例えば $\sigma=(1 4 2)(5 6 7)(3)\in \mathfrak{S}_7$ なら,$\sigma$ は長さ $3, 3, 1$ の巡回置換からなるから,$\sigma$ の近道度 $m(\sigma)$ は

$$
m(\sigma)=\frac{1}{3\cdot 3\cdot 1}=\frac{1}{9}
$$

である。自然数 $n$ に対して,${1,\cdots, n}$ の置換(これは $n!$ 通りある)の近道度の平均を

$$
f_n=\frac{1}{n!}\sum_{\sigma\in \mathfrak{S}_n} m(\sigma)
$$

とおく。

$$
f_1=1, \; f_2=\frac{\fbox{ア}}{\fbox{イ}}, \; f_4=\frac{\fbox{ウエオ}}{\fbox{カキク}}
$$

であり,

$$
\sum_{n=0}^{\infty} f_n=\fbox{X}
$$

である(級数が収束することは証明なしに認めてよい)。ただし $f_0=1$ と約束する。

※ $\mathfrak{S}_n$ は $n$ 次対称群を表す(19:03追記)。

解答形式

$\fbox{ア}$ 〜 $\fbox{ク}$ には 0 - 9 の数字が当てはまります。$\fbox{ X }$にはある実数が当てはまります。空欄のある分数はすべて既約です。

  • 1行目 には $\fbox{ア}$ に当てはまる数を半角で入力してください。
  • 2行目 には $\fbox{イ}$ に当てはまる数を半角で入力してください。
  • 3行目 には $\fbox{ウエオ}$ に当てはまる数を半角で入力してください。
  • 4行目 には $\fbox{カキク}$ に当てはまる数を半角で入力してください。
  • 5行目 には $\fbox{ X }$ に当てはまる数を入力します。答えを $10$ 進小数で表し,小数第2位を四捨五入して小数第1位まで求めてください。例えば,$9.876\cdots $ が答えになる場合は 9.9 と解答してください。

ヒント

  • $f_0,\cdots, f_{n-1}$ を使って $f_n$ を表すことができます。
  • $f_n$ の母関数を $f(t)=\displaystyle{\sum_{n=0}^{\infty}} f_nt^n$ とおくと,$f(t)$ はとある微分方程式を満たします。
3年前

16

問題文

正の実数に対して定義され正の実数値をとる関数 $f$ が、任意の正の実数 $x,y$ に対して

$$
f\left(\frac{x+y+1}{xy}\right)=\frac{f(x)f(y)}{x+y+1}
$$

を満たすとき

$$
f\left(\frac{11}{21}\right) = \frac{\fbox{アイウエ}}{\fbox{オカキ}}
$$

である。

解答形式

ア〜キには、0から9までの数字が入る。
文字列「アイウエオカキ」を半角で1行目に入力せよ。
ただし、それ以上約分できない形で答えよ。

expもどき

masorata 自動ジャッジ 難易度:
3年前

10

問題文

すべての複素数に対して定義され、複素数の値をとる関数 $f(z)$ は、すべての複素数 $z,w$ について

$$
f(z+w)=f(z)f(w)+zw ...(*)
$$

をみたすとする。以下の問いに答えよ。

⑴ すべての複素数 $z$ について $f(2)f(z)+z = f(1)f(z+1)+1$ が成り立つことを示せ。
⑵ $(*)$ をみたすような $f(z)$ をすべて求めよ。

解答形式

⑵を解答したうえで、以下の空欄ア~エに当てはまる0~9の整数を順に並べて4桁の半角数字「アイウエ」を入力せよ。根号の中身が最小になるように解答せよ。

$|f(5+11i)|$ のとりうる値のうち最大のものは$(アイ)$, 最小のものは$(ウ)\sqrt{(エ)}$ である。

[B]ネットワークの情報伝達

kaicho 自動ジャッジ 難易度:
3年前

11

問題文

次のようなネットワークを考える.
・情報として「0」または「1」の状態を各ノードは保持することができる.
・各ノードは他のノードに対して一方的に情報を伝達する.
・情報の伝達の際には,ある確率pで正しく状態を伝達するが,1-pの確率で状態が反転して伝達される.ここで,このpは枝によって値が異なることに注意する.
・2つのノードから情報が伝達される場合には,両方の情報を受け取った上で,保持する状態を決定する.このとき,2本のノードから受け取った情報が一致する場合には一致した状態を保持し,異なる情報を受け取った場合には1/2の確率で「0」を保持することにする(1/2の確率で「1」を保持することにする).
以下の図のネットワークにおいて始点の情報を終点まで伝達することを考え,始点と終点の状態が一致する確率xを求める.
ただし,矢印(枝)はノード間の情報伝達の方向を表し,枝の上に書かれている文字は正しく伝達される確率(上の説明のp)を表すものとする.

① a=2/3,b=3/4の場合のxを計算せよ.
② a=11/111,b=1/2の場合のxを計算せよ.
③ a=2/3,b=3/4の場合を考える.このネットワークはxy平面上の$3\times3$のサイズの格子点において,x軸正方向とy軸正方向に正しく情報が伝達される確率をそれぞれa,b,始点を原点,終点を点(2,2)としたものとみなせる.このとき,$n\times n$のサイズに拡張された(終点を(n,n)とする)ネットワークを考えると,$n\to \infty$とした時に,始点と終点の状態が一致する確率の収束値を求めよ.

解答形式

「分子/分母」(半角英数字)として既約分数を表せ.例)11/92
1行目に①,2行目に②,3行目に③を解答すること.

[E] Centrosymmetry

halphy 自動ジャッジ 難易度:
3年前

4

問題文

$P$ を $n\times n$ 行列とする。$P$ の第 $(i, j)$ 成分と第 $(n-i+1, n-j+1)$ 成分がつねに一致するとき,$P$ を点対称行列と呼ぶことにする。例えば $n=4$ なら,$P$ は一般に

$$
P=\begin{pmatrix} a & b & h & g \\ c & d & f & e \\ e & f & d & c \\ g& h & b & a \end{pmatrix}
$$

という形をしている。$E'$ を $4\times 4$ の単位行列とし,$4\times 4$ 行列 $J'$ を

$$
J'=\begin{pmatrix} 0 & 0 & 0 & 1 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 1 & 0 & 0 \\ 1 & 0 & 0 & 0 \end{pmatrix}
$$

で定義する。

(1) 一般の $4\times 4$ 行列 $X$ に対して,$XJ'$ の $(\fbox{ア},\fbox{イ})$ 成分と $X$ の $(1,2)$ 成分は一致する。また,$J'X$ の $(\fbox{ウ},\fbox{エ})$ 成分と $X$ の $(1,2)$ 成分は一致する。よって, $4\times 4$ 行列 $P$ が点対称行列であることは,$J'PJ'=P$ が成り立つことと同値である。

(2) $E$ を $2\times 2$ の単位行列とし,$2\times 2$ 行列 $J$ を

$$
J=\begin{pmatrix} 0 & 1 \\ 1 & 0 \end{pmatrix}
$$

で定義する。$4\times 4$ 点対称行列 $P$ が,ある $2\times 2$ 行列 $A,B,C,D$ を用いて

$$
P=\begin{pmatrix} A & B \\ C & D \end{pmatrix}
$$

と表せたとする。(1) と同様の考察より,$D=JAJ, B=JCJ$ である。$4\times 4$ 行列 $Q$ を

$$
Q=\frac{1}{\sqrt{2}}\begin{pmatrix} E & -J \\ J & E \end{pmatrix}
$$

で定めると,$Q^{\rm T}Q=\fbox{オ}$ であり

$$
Q^{\rm T}PQ=\begin{pmatrix} \fbox{カ}+\fbox{キク} & \fbox{ケ} \\ \fbox{コ} & \fbox{サシス}-\fbox{セソ} \end{pmatrix}
$$

が成り立つ。

(3) $p$ を実定数とする。(2) の結果を利用して,行列

$$
P=\begin{pmatrix} 0 & p & 0 & 1-p \\ 0 & p^2 & 1-p & p(1-p) \\ p(1-p) & 1-p & p^2 & 0 \\ 1-p & 0 & p & 0 \end{pmatrix}
$$

の固有値を求めよう。$p=\cfrac{13}{15}$ のとき,$P$ の固有値は大きい順に

$$
\fbox{タ}, \frac{\fbox{チ}}{\fbox{ツ}}, \frac{\fbox{テ}}{\fbox{トナ}}, \frac{\fbox{ニ}}{\fbox{ヌネノ}}
$$

である。

解答形式

空欄 $\fbox{ア}$ 〜 $\fbox{ノ}$ には,半角数字 0 - 9 ,記号 - ,4×4行列 E', J' ,2×2行列 E, J, A, C, O のいずれかが当てはまります(B, Dを使って解答することはできません。O は零行列を表します)。$\fbox{ア}$ 〜 $\fbox{ノ}$ に当てはまるものを改行区切りで入力してください。分数はこれ以上約分できない形で解答してください。

[C] A Downward Tower

halphy 自動ジャッジ 難易度:
3年前

2

問題文

$n=0,1,\cdots$ に対し,$I_n$を
$$
I_n=\sum_{k=0}^{\infty}\frac{1}{2^{k}k!(2n+2k-1)!!}
$$で定める。ただし $(-1)!!=1$ とする。この級数は収束することが知られている(例えば,ダランベールの判定法を適用すればよい)。特に
$$
I_0+I_1=\fbox{ア}
$$である。また,$\{I_n\}$ は漸化式
$$
I_{n-1}-I_{n+1}=(\,\fbox{イ}\,n-\fbox{ウ}\,)I_n\quad(n=1,2,\cdots)
$$を満たし
$$
\lim_{n\to\infty}\frac{I_{n+1}}{I_n}=\fbox{エ}
$$が成り立つ。これらの結果を用い,漸化式を変形すると
$$
1+\cfrac{1}{3+\cfrac{1}{5+\cfrac{1}{7+\cfrac{1}{\ddots}}}}=\frac{\fbox{オ}^{\fbox{カ}}+\fbox{キ}}{\fbox{ク}^{\fbox{ケ}}-\fbox{コ}}
$$が得られる。ただし $\fbox{オ}\neq\fbox{キ}$ とする。

注意

自然数 $n\geq 1$ に対し,$n!!$ は $1$ 個とばしの階乗を表す。例えば,$n$ が奇数のとき
$$
n!!=n(n-2)(n-4)\cdots 3\cdot 1
$$である。

解答形式

空欄 $\fbox{ア}$ 〜 $\fbox{コ}$ には,半角数字 0 - 9 ,記号 - ,円周率 π ,自然対数の底 e のいずれかが当てはまります。$\fbox{ア}$ 〜 $\fbox{コ}$ に当てはまるものを改行区切りで入力してください。

[E] modじゃんけん

hinu 自動ジャッジ 難易度:
3年前

14

問題文

$n\;(\geq 2)$ を自然数とするとき,以下の試行を行うことを考える。


試行

  • $n$ 人が $0,1,2$ のいずれかひとつの数を無作為に選ぶ。
  • 人 $i\; (i=1,2,\cdots, n)$ が選んだ数を $a_i$ とする。各人 $i$ に対して,
    $$
    a_i\equiv\sum_{j=1}^n a_j\; ({\rm mod} \; 3)
    $$ならば人 $i$ は生存し,そうでないなら脱落する。この試行をmodじゃんけんと呼ぶことにする。

$n$ 人がmodじゃんけんを $1$ 回行い,全員が生存するか全員が脱落するとき,modじゃんけんの結果はあいこになると定義する。

$n$ 人がmodじゃんけんを $1$ 回行ってあいこになる確率を $p_n$ とするとき

$$
p_2=\frac{\fbox{ア}}{\fbox{イ}},\; p_3=\frac{\fbox{ウ}}{\fbox{エ}},\; p_4=\frac{\fbox{オ}}{\fbox{カキ}}
$$

である。$n$ を $\fbox{ク}$ で割った余りが $\fbox{ケ}$ であるとき

$$
p_n=\frac{\fbox{コ}^{n}+\fbox{サ}}{\fbox{シ}^n}
$$

であり,そうでないときには

$$
p_n=\frac{\fbox{コ}^{n}+\fbox{ス}}{\fbox{シ}^n}
$$

である。また,

$$
\lim_{n\to\infty} p_n=\fbox{セ}
$$

が成り立つ。

解答形式

空欄 $\fbox{ア}$ 〜 $\fbox{セ}$ には,半角数字 0 - 9 または記号 - のいずれかが当てはまります。$\fbox{ア}$ 〜 $\fbox{セ}$ に当てはまるものを改行区切りで入力してください。分数はこれ以上約分できない形で解答してください。

[D] monotonous decrease

Benzenehat 自動ジャッジ 難易度:
3年前

13

問題文

$k$を$0$以上の実数, $e$を自然対数の底とする。数列$a_n$を
$$a_n=\frac{n!e^n}{n^{n+k}}$$
と定める。任意の自然数$n$に対して, $a_{n+1} < a_n$が成り立つような最小の$k$を求めよ。

解答形式

整数または既約分数で答えてください。

F-ガンマ1/4

halphy 自動ジャッジ 難易度:
3年前

13

問題文

$n=0, 1,\cdots$ に対して

\begin{equation}
I_n=\int_0^1 \frac{x^n}{\sqrt{1-x^4}}dx
\end{equation}

と定める。この広義積分は収束することが知られている。

任意の $n=0,1,\cdots$ に対して
\begin{equation}
I_{n+\fbox{ア}}=\frac{n+\fbox{イ}}{n+\fbox{ウ}}I_n
\end{equation}が成り立つ(ただし $\fbox{ア}$ は $0$ でない)。これを利用すると

\begin{equation}
\prod_{n=1}^{\infty} \left[1-\frac{4}{(4n-1)^2}\right]=\frac{\fbox{エ}\;\pi^{\fbox{オ}}}{\alpha^{\fbox{カ}}}
\end{equation}が導かれる。ここで $\alpha$ は

\begin{equation}
\alpha=\int_0^{\infty} t^{-3/4}e^{-t}dt=\Gamma\left(\frac{1}{4}\right)
\end{equation}で定義される定数である(この広義積分は収束することが知られている)。

注意事項

以下の事実は証明なしに用いてよい。

  • 実数 $x>0$ に対して,広義積分
    \begin{equation}
    \Gamma(x) := \int_0^{\infty} t^{x-1}e^{-t}\;dt
    \end{equation}は収束する。
  • 実数 $x>0$ に対して
    \begin{equation}
    \Gamma(x+1)=x\Gamma(x)
    \end{equation}が成り立つ。
  • 実数 $x, y>0$ に対して
    \begin{equation}
    \frac{\Gamma(x)\Gamma(y)}{\Gamma(x+y)}=\int_0^1 t^{x-1}(1-t)^{y-1}\;dt
    \end{equation}が成り立つ。ただし,右辺の広義積分は収束することが知られている。
  • 実数 $0<x<1$ に対して
    \begin{equation}
    \Gamma(x)\Gamma(1-x)=\frac{\pi}{\sin\pi x}
    \end{equation}が成り立つ(相反公式)。

解答形式

$\fbox{ア}$ 〜 $\fbox{カ}$ には,半角数字 0 - 9 のいずれかが当てはまります。$\fbox{ア}$ 〜 $\fbox{カ}$ に当てはまるものを,改行区切りで入力してください。