ひとまず $k$ を整数とは限らない正の定数とします。条件を満たすような $k$ が存在するような $k$ の値の範囲を図形的な考察から求めましょう。
$k$ が小さいとき,辺 ${\rm AC}$ の長さが足りず三角形を作ることができません。条件を満たす $k$ が存在するような最小の $k$ は,$\triangle {\rm ABC}$ が $\angle{\rm ACB}=90^{\circ}$ の直角三角形となるときに実現され,このとき $k=4\sqrt{3}$ です。よって,空欄 $\fbox{ア}$ には $k\geq 4\sqrt{3}$ を満たす最小の整数である $7$ が当てはまります。
$k\geq 4\sqrt{3}$ のとき,$k$ が小さいうちは条件を満たす三角形は $2$ 通り存在し,ある $k$ を境に三角形が一意に定まるようになります。そのような $k$ は $\triangle {\rm ABC}$ が ${\rm AB=AC}$ の二等辺三角形(このとき正三角形にもなります)になるときの $k$ で,このとき $k=8$ です。
以上より,条件を満たすような三角形の個数は
です。したがって空欄 $\fbox{イ}$ には $8$ が当てはまります。
余弦定理を用いて代数的に求める方法もあります。三角形は $2$ 辺とそのはさむ角が定まれば一意に定まりますから,条件を満たすような三角形の個数は,辺 ${\rm BC}$ の長さとしてありうる値の個数に一致します。そこで,${\rm BC}=x$ とおき,$x$ の満たす関係式を考えましょう。
$\triangle{\rm ABC}$ に余弦定理を適用すると
$$
k^2=x^2+8^2-2\cdot x\cdot 8\cdot \cos{60^{\circ}}
$$
すなわち
$$
x^2-8x-k^2+64=0
$$
となります。条件を満たすような三角形が存在することと,この $2$ 次方程式が正の解を少なくとも $1$ 個もつことは同値です。$2$ 次方程式の判別式を $D$ とおき,$2$ 次方程式の左辺を $f(x):=x^2-8x-k^2+64$ とおくと,放物線 $y=f(x)$ の軸は直線 $x=4$ です。よって,今回に限って言えば,正の解をもつことと $D\geq 0$ は同値です。したがって,条件を満たす三角形が存在するための条件は
$$
D/4=k^2-48\geq 0
$$
すなわち $k\geq 4\sqrt{3}$ です。
条件を満たす三角形が一意的に存在する条件に関しても同様です。今度は,$2$ 次方程式が正の解をただ $1$ つだけもつような $k$ の値の範囲を求めればよく,それは
$$
f(0)=64-k^2\leq 0
$$
です。したがって,$k$ の値の範囲は
$$
k\geq 8
$$
となります。
この問題を解いた人はこんな問題も解いています